© 2018 立命館大学DML  Proudly created with Wix.com

立命館大学デザイン科学研究センターDML(Design Management Lab)

 「歴史の分断と文化アイデンティティの再構築にどう立ち向かうか」という、ルータ・ヴァルサイティ(カウナス工科大学・准教授)のリトアニアのはなしを聞くうちに、それが遠くの国の自分に無縁のものではなく、私たちが今まさに抱えている日本のビジネスや社会の現状への示唆がとても多く含まれていることに気づいた。そして、このはなしは今、日本のビジネスの将来を考える人たちに共有されなければならない、と強く思った。それがまずこのセミナーを開催する目的のひとつである。

 例えば、旧ソ連支配下と独立後の世代間における、これからの社会のあり方や働き方についての価値判断と、自己のアイデンティティの認識の差をめぐる状況は、まさに働き方改革をめぐるこれからの組織やリーダーシップのあり方、新しい働き方や生き方の議論に通じる。私たちはなぜ働き、どのように生き、どこに向かおうとしているのか。仕事と人生の意味を問い直す、ひいては日本社会が向かう方向性を問い直す機会が来ている、というのは大げさ過ぎるだろうか?

 このリトアニアの状況に対して、ヴァルサイティは、社会にデザインの考え方を浸透させる重要性と必要性を説く。そして、実際にデザイン教育実践をはじめている。なぜ、デザインなのか。それはデザインが単なるものづくりの方法論ではなく、ものごとの新しい意味を創り出していくプロセスだから、である。

 日本のビジネスにおいても、「デザイン思考」や「デザイン経営」のように、デザインが企業のブランディングやイノベーション創出に貢献する思考プロセスであることの理解が浸透しはじめている。それでも、商品開発やブランド、イノベーションに直接関わらない職務に従事するビジネスパーソンにとって、デザインはいまだ縁遠い存在である、との認識が強いのではないだろうか。

 デザインは、企業のブランディングやイノベーション創出に貢献するだけの小さく狭いものではない。その大きさと広さを知るためには、私たちはデザインについてもっとよく知る必要がある。こう指摘するのが、ヨーロッパを中心にデザインの実践と教育に従事してきた、アレッサンドロ・ビアモンティ(ミラノ工科大学・准教授)である。もっとデザインをよく知れば、それが縁遠い存在でなく、自分たちの仕事や生活の最も身近にあり、常に新しい意味を問うていることに気づくだろう。

 リトアニアやヨーロッパから視野を遷してみても、グローバルビジネスが進展している現在、どの企業も「VUCA(Volatility:変動性、Uncertainly:不確実性、 Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)」といわれる予測困難な状況に直面している。そんな状況に対して、ビジネスパーソンが組織で発揮すべき新しいリーダーシップのあり方が問われている。

 これまでのビジネスにおけるリーダーシップは、特別な役職や権限を持った人が、組織を「統率・牽引する能力」として捉えられてきた。しかし、予測困難なVUCA時代に求められるのは、役職や権限を問わず、自らが進むべき方向性を示し、関係者の意欲を高め、未来を創り出していく、ビジネスパーソンなら「誰もが持つべき主体的な態度」としてのリーダーシップである。この態度をどのように身につけていくか。

 そこで注目できるのは、不確実で曖昧な状況を受け入れ、楽しみながらものごとの新たな意味を見出していくデザイナーのマインドセットである。実際にデザイン研究において、デザイナーがデザイン活動に取り組む際の信念・行動規範・振る舞いの分析から、このビジネスにおける新たなリーダーシップ育成に資する態度的要素が明らかにされている。でも、「デザイン研究」と「ビジネス実践現場」はつながっていない。そこには高い壁がある。いや、壁すら意識されていないかもしれない。多くのビジネスパーソンに、それらが同じ地平にあることに気づいてもらう必要がある。それがこのセミナーを開催するふたつめの目的である。

 本当は自分の仕事とデザインのつながりが現状で見出だせないビジネスパーソンにこそ、ここに参加してほしい。でも、それはたぶんとても難しいことだろう。だからここでは、日本のビジネスの将来と社会のあり方を本気で考え、組織を変えようとする人たちに参席いただき、ヴァルサイティとビアモンティのはなしを発展させて、まだデザインとつながらないビジネスパーソンに広く敷衍し、次世代の仕事や人生の新しい意味を創り出していってほしい。

本セミナー主催者代表

八重樫 文(立命館大学経営学部教授・デザイン科学研究センター長)

​ なお、本セミナーは2019年10月に大阪で開催する、4D Conference in Japan 2019のプレセミナーとも位置づけています。4D Conferenceは、デザインに関する国際会議で、ヴァルサイティとビアモンティ他が中心となって2017年にリトアニアで第1回が開催されました。そこに立命館大学デザイン科学研究センターが加わり、第2回を日本で開催します。本セミナーを皮切りに、2019年10月までビジネスパーソンとデザインの知見をつなぐさまざまな場を企画していきます。

4d-conference-logo.png_72969.png

日時

2018年10月16日(火)※終了しました。

14:30-17:00 (17:30- 情報交換会)

 

場所:

立命館 東京キャンパス

(JR東京駅日本橋口より直結,サピアタワー8階)

参加費:

8,000円

(プレス/メディア/DMLとの研究契約企業/DML主催セミナー・研究会参加企業は無料)

主催:

立命館大学デザイン科学研究センターDML

4D Conference in Japan 2019 準備委員会

株式会社ヒューマンクエスト

参加申し込み・問い合わせ:

氏名、ご所属先をご記入のうえ、

contact@dml-ritsumei.jp

までお申し込みください。

立命館大学デザイン科学研究センターDML

大阪府茨木市岩倉町2−150

担当:宮崎

プログラム(同時通訳あり):
第1部 14:30-15:00 

「日本社会やビジネスにおける次世代のリーダーシップにおいて、なぜデザインの知見が必要なのか?」

八重樫 文

立命館大学経営学部教授,立命館大学デザイン科学研究センター長

第2部 15:00-15:45

「なぜ今、リトアニアでデザイン教育が必要とされているか? 」

Rūta Valušytė

Associate Professor of Design at Kaunas University of Technology; Head of Design centre, Faculty of Mechanical Engineering and Design. Kaunas, Lithuania

第3部 15:45-16:30

「ヨーロッパにおけるデザインの新しい意味」

Alessandro Biamonti

Associate Professor of Design in the Department of Design at Politecnico di Milano. Milan, Italy

第4部 16:30-17:00

ディスカッション 「4D Conference in Japan 2019の開催に向けて」

八重樫 文,Rūta Valušytė,Alessandro Biamonti

This site was designed with the
.com
website builder. Create your website today.
Start Now